【読書】資本主義の次に来る世界

囲い込みは国内の植民地化であり、植民地化は国外での囲い込みだった。

 

資本主義というパズルの最後のピースになったのは、植民地経済への介入だった。・・・・自給自足経済を破壊することによって、大量の労働者だけでなく大量の消費者、つまり、植物、衣服、その他の必需品を、資本家に依存する人々を作り出したからだ。

 

農民は互いと競争し、親類や隣人とも張り合う様になった。かつての協力的なシステムは、絶望的な敵対を中心とするシステムへと変わっていった。

 

貧困とは・・・・個人が財産を持たず、生計を立てるには勤勉に働き続けるしかない状態を指す。

 

アニミズムを信仰する人々は、生態系が再生できる量より多くは取らない様に注意を払い、土地を守り修復する事で生態系にお返しをしている。

 

国は労働を強制する法律を導入し始めた。

 

デカルトの身体論は、人間の労働を自己から切り離し、抽象化し、自然と同じく市場で交換できるものにした。土地や自然と同じように、労働も単なる商品に変貌したのだ。

 

労働者を生み育てる労働者、・・・女性には賃金を支払わなかった。

 

スペイン人はアメリカ先住民族をnaturalsと呼んだ。

 

デカルトは、科学の目的は、人間を自然の支配者、所有者にすること、だと主張した。

 

絶滅しかけている種は、向こう側の、環境の中にいて、わたしたちの一部ではなく、ここにはいない。

 

地元のレストランが具体的な必要を満たすことを目指すのと違って、交換価値を蓄積するこのプロセスに明確な終点は存在しない。それは根本的に人間の必要という概念から切り離されたものなのだ。

 

資本家の観点に立てば、利益に意味はない。肝心なのは成長率なのだ。

 

なぜ投資家は飽くことなく成長を追い求めるのだろう・それは資本を動かさなければ、インフレや市場の変化などのせいで価値が下がるからだ。そのため、資本家のもとに集まった資本は、成長への強力なプレッシャーになる。資本が蓄積すればするほどプレッシャーは増していく。

 

資本は、蓄積を阻む障壁(市場の飽和、最低賃金法、環境保護など)にぶつかるたびに、・・・それを破壊し、新たな成長の源へ触腕を伸ばしていく。これが「解決策」と呼ばれるものだ。囲い込み、植民地化、大西洋の奴隷貿易、全てがそうだ。

 

GDPは「悪いこと」に無関心なだけでなく、「良いこと」の大半にも無関心だ。貨幣価値に換算できない経済活動については、たとえばそれが人間の生活と幸福にとって重要であっても、ほとんど計算に入れない。

 

イギリス政府はそれ(OECD憲章)に倣って、10年間で50%という成長率を目標に設定した。。。。この時、初めて成長そのものが、国の正式な政策目標になったのである。

 

この介入のせいで、過去数十年間で世界の不平等はかなり広がった。現在、グローバルノースとサウスの1人当たりの実質国民所得の差は、植民地政策末期の4倍になっている。

 

各国政府は気が付くと、労働者の権利の削減、環境規制の緩和、公用地の開発業者への払い下げ、公共サービスの民営化など、国際資本が喜ぶことは何でもするようになっていた。

 

世界中の政府が新たなルールに縛られている。それは「生産高を上げて賃金や社会サービスを向上させることを目指すのではなく、成長そのものを追求せよ」というルールだ。

 

資本主義のもとでは企業は常に、生産コストを下げるために労働生産性を向上させようとする。労働生産性が向上すると、企業が必要とする労働者の数は減る。その結果、労働者は解雇され、失業率が上昇し、貧困とホームレスが増える。そうなると政府は、新たな雇用を創出するために、さらなる成長を促進しようとする。これは「生産性の罠」として知られる。

 

債務の罠は、成長を最も強く要求するものの一つだ。。。。投資家が国債を買い続けるために必要とする「成長への確信」を彼らに持たせることだ。

 

石炭から石油と天然ガスへのシフトは、エネルギー転換ではなくエネルギーの追加なのだ。

 

資本主義自体が、人口を増やせとプレッシャーを生み出している。人口が増えれば労働者が増え、労働が安価になる一方、消費が増えるからだ。

 

クリーンエネルギーへの移行は莫大な量の金属と希土類を必要とし、それらの採取は生態系と社会にさらなる負荷をかける。

 

電気自動車への切り替えはすべきだが、最終的に必要なのは車の数を大幅に減らすことだ。

 

世界のリチウムの大半が採掘されているアンデスでは、採掘企業がリチウムを含む地下水を大量に組み上げるせいで農業用水が枯渇し、農民の多くは土地を捨てざるを得なかった。

 

地球の大気は信じられないほど複雑だ・・・わたしたちはスーパーコンピューターでモデリングを進めてきたが、地球の大気をモデル化する方法はまだわかっていない。

 

石油企業は残っている石油に到達する為に、府ラッキング、深海掘削、その他の「きつい仕事」に頼らざるをえなくなり、同じ量の燃料を得るために、より多くのエネルギーと資材を使っている。

 

GDPと資源消費の絶対的デカップリングは、世界規模では到底不可能である。