トランプ支持者

『記者、ラストベルトに住む』(金成隆一著)を読みました。

帯の副題が、トランプ大統領を支持した人々は、今何を思うのか。

 

米国に在住ながら、当時、大統領選で、どのような人々がトランプを支持したのか、2年経った今、その人たちは、どのように思っているのか、よく分からず、日本の書籍は割高ですが、興味があり、購入しました。

 

日本でも耳にする『ラストベルト』、この本では、アパラチア地方、という言葉でも表されていますが、あまり日本人が出入りせず、ましてや、短期ながら住んで取材をする、という記者魂には、まず関心しました。滞在された場所は、オハイオ州トランブル群ウォーレン。かつては、製鉄所、自動車工場があったが、いずれも倒産、典型的なラストベルトの街。そこでは、かつては民主党支持者だったが、今回トランプ支持に回った人が多くいるようだ。民主党=労働者、共和党=富裕層、という構図から、中西部のオールドエコノミー従事者は民主党支持が一般ながら、彼らは何故、トランプ支持に回ったのか。その背景には、ミドルクラスから貧困層への転落、もしくは、その恐れから、トランプに期待して投票した様です。

 

確かに、仕事関係で接する米人でも、実はトランプに投票したという人間が何人もいましたが、今では、それを後悔する人も多い。ただ、彼らの生活は、そこまで危機的ではないだろうし、米中経済摩擦等で、ビジネスに負の影響を体感しているからかも知れない。一方、中国に強く出てているのは正しい、という人間もいます。

 

本書では、我々が見聞きしている米国とは異なり、貧困化が進むアパラチア地方の人々に焦点をあて、実際に多くの人々に直接取材している為、非常に新鮮。ここまで給料が下がっているのか、ここまで薬物汚染が深刻なのか、白人主義者たちが、貧困層をどのように取り込もうとしているのか、ハッとさせられる内容が多いです。

 

中間選挙では、両陣営ともに勝利宣言をしたため、結局トランプが支持されているのかどうか、はっきりしない所があります。依然、共和党支持者では8-9割がトランプを支持している一方、女性の当選者が大きく増えた事から、マイノリティーの反発は強くなっていると思われ、確かに、現時点、良くわかりません。ただ、本書に出てくるトランプ支持者達は、自分たちの生活を変えてくれるだろう、という期待が強いため、それが実現しないと、失望に変わるでしょう。2年後の大統領選が楽しみです。