【読書】ホモ・デウス 下

現代の政治家と経済学者は、成長が不可欠である主な理由は三つあると主張する。

第一に、生産が増えれば、より多くを消費して生活水準を上げられ、しかもそのおかげで、より幸せな人生を楽しめるとされている。

第二に、人口が増えているかぎり、現状をいじするだけのためにも経済成長が必要とされる。

第三に、インドの人口増加が止まったとしても、そして、中産階級が現在の生活水準で満足できるとしても、貧困に喘ぐ何億のもの人々に対してはインドはどうするべきなのか?

世界は決まった大きさのパイであるという伝統的な見方は、世界には原材料とエネルギーという二種類の資源しかないことを前提としている。だがじつは、資源には三種類ある。原材料とエネルギーと知識だ。

 

最も偉大な科学的発見は、無知の発見だった。

 

こうして人々は近代以降、より多くを望むことを奨励され、強欲を抑えてきた昔ながらの規律は廃された。

 

意味のない世界のために意味を見出せーこれこそが人間至上主義が私たちに与えた最も重要な戒律だ。

 

物語る自己以上に本人の事を本当によく知るシステムがいったん手に入れば、物語る自己の手に権限を委ねたままにするのは、無謀ということになる。

 

物語る自己はピーク・エンドの法則に従う。出来事の大多数は忘れ、いくつかの極端な事例だけを記憶しており、最近起こったことをはなはだしく、過大評価する。

 

自由主義は、システムが私自身よりも、私のことをよく知るようになった日に崩壊する。

人は恐れていると、勇気に満ちているときとは違う化学物質を分泌する。

 

私たちは何百万年にわたって、能力を強化されたチンパンジーだった。だが将来は、特大のありになるかもしれない。

 

21世紀初頭の政治は壮大なビジョンを失っている。政府は単なる管理者になった。国は管理するが、もう導きはしない。

 

こうして人類は過去7万年間に、まず拡散し、その後別々の集団に分かれ、再び一体化した。

 

データ至上主義者は、情報の自由を何にも優る善として擁護する。

 

この容赦ないデータの流れは、誰も計画も制御も把握もしていない、新たな発明や混乱を引き起こす。グローバルな経済がどう機能しているのか、政治がどこに向かっているのか、誰にも分らない。だが理解する必要は無い。必要なのは、自分あてのメールにもっと速く返信する事だ。

 

人間至上主義によれば、経験は私たちの中で起こっていて、私たちは起こる事すべての意味を自分の中に見つけなければならず、それによって森羅万象に意味を持たせなければならないことになる。一方、データ至上主義は、経験は共有されなければ無価値で、私たちは自分の中に意味を見出す必要はない。

 

1.生き物は本当にアルゴリズムに過ぎないのか?そして、生命は本当にデータ処理にすぎないのか?

2.知能と意識のどちらの方が価値があるのか?

3.意識を持たないものの高度な知能を備えたアルゴリズムが、私たちが自分自身を知るよりも良く私たちの事を知るようになったとき、社会や政治や日常生活はどうなるか?